エボークトセット
Evoked Set
一文でいうと
顧客が購買を検討する際、頭の中で「候補」として想起するブランドの集合。想起集合。
詳しく
基本的な意味
顧客が何かを購入しようとするとき、頭の中に自然と浮かぶブランドの候補群をエボークトセットと呼ぶ。マーケティング学者フィリップ・コトラーが提唱した概念で、日本語では「想起集合」と訳される。顧客はまず「知っているブランド全体(総想起集合)」を持ち、その中から購買の場面で実際に比較検討する数個に絞り込む。この絞り込まれた候補群がエボークトセットにあたり、そこに入っていなければ、どれほど優れた商品でも比較の土俵にすら上がれない。
なぜ重要か
ブランディングの実務上の到達点の一つは、ターゲット顧客のエボークトセットに自社ブランドを入れ込み、その中で選ばれる位置を確保することにある。広告や店頭施策がどれほど工夫されていても、そもそも想起される存在でなければ購買行動には結びつかない。ブランド評価を認知率だけで測ると見落としがちだが、「思い出してもらえるか」という手前の関門を通過しているかどうかが購買の分岐点になる。想起集合の中の何番目に位置しているかまで意識すると、施策の優先順位がより明確になる。
実務での使い方
エボークトセットに入るには、繰り返しの接触機会と一貫したブランド体験の両方が要る。カテゴリを検討し始めた瞬間に第一想起されることを目標に、広告出稿だけでなくコンテンツ発信や口コミ形成まで含めて設計する。中小企業では出稿量で大手に及ばない分、あらゆる場面での想起を狙うのではなく、特定のシーンや悩みに紐づけた想起に絞り込む戦略の方が現実的で効果も出やすい。
よくある誤解
ブランド認知度が高いことと、エボークトセットに入っていることは同義ではない。名前を知られていても、購買を検討する瞬間に思い出されなければ意味がない。ブランドを育てる活動は、認知の獲得だけでなく「思い出される順位」を上げる活動として捉え直す必要がある。
関連する用語
ID INC. のポッドキャスト「育てるブランディング」より
冒頭に噛むなよ笑 そうだね。いろんな場面で思い出してもらえるように第一想起を取るために設計するって話をしました。 で、今回はその続き。じゃあ具体的にどうやって認知を増やして、エボークトセットに入るかっていう、もう少し実践的な話をしようと思う。
そう。例えばね、認知度は高いのに、想起されてないっていうケースがあるとする。 これは「知られてるけど、思い出してもらえてない」ってこと。第12話で話したエボークトセットに入れてない状態。
あー、そうだね。 で、なんでこの紐づけが起きないか。ここでさ、前に話した「エボークトセット」って言葉、覚えてる?